【ネタバレあり】映画バッファロー66 の最後
この映画は私にとって長く寝かしたものだった。2003年頃、同僚に「バッファロー66は観るほうが良い。最後にね、ものすごいどんでん返しがあるんだよ」と興奮気味に言われ、「っオーイ!どんでん返しがあるってことを知っちゃったら観る意味無くなったわ」とお蔵入りしたのだった。
今になれば、脳の構造の違いなのか『ネタバレしてても100%楽しい』というタイプの人が世にはいることが理解できるので、同僚の行為は水に流し、初めてバッファロー66を観るに至った。
さて、ここを読んでいる方の大半はすでに観た方だろう。その前提で私の疑問を聞いてほしい。
荒んでいた主人公が、最後に心を入れ替えて、ウキウキしながらドーナツとココアを買って愛する彼女の元に向かうシーンがある。
あの瞬間、私は『フラグだ』と思った。
この展開は、このあと主人公は彼女に会う前に不運な事故に遭い亡き者になり、彼女には主人公が改心したことが伝わらないというやつや!と、私は思ったのだ。
あぁ悲しいなぁ。なんでそういうやりきれない最後が描かれるんだろう。私は主人公を看取るような憐れむような気持ちで観ていたが、主人公はあっさり部屋に戻り彼女に添い寝して愛でるシーンで物語が幕となった。
まじか。
よかった。
さて、私にさんざん刷り込まれた、『主人公が改心しすべてが順風満帆になったとたん主人公が死ぬ』という結末はいったい何なんだろう?
岡崎京子の漫画にあったような気がする。あの時代の物語はどこかで足元が崩れ落ちて怪我をするものが多かったと思う。
そういえば、2000年代になり黒田硫黄の『茄子』を読んだ時にも、似た経験があった。
男女が山中で迷い、一軒家を見つけるだなんて、いかにも『このあと理不尽な不幸に巻き込まれるんだろうなぁ』な展開なのに読み進めたらハートフルであったという。
本来の物語はかくあるべきで、90年代の世紀末感が異常なだけだったのかなぁ…