五本指シューズを使い始めて 3


ここはインドではない。
ただ、五本指シューズ ビブラムファイブフィンガーズ を履いているだけで、インドとヨガを思い出す。

インドでは、かかとの皮が分厚く成長していった。乾いて毛羽立ちカチカチになり、人が本来持つ足の機能を発揮していた。

五本指シューズを履いて歩く動きは太陽礼拝だ。後ろの足はピンと伸ばし、前の足は膝を曲げてやわらかく降ろす。

108回の太陽礼拝をする修行があるというが、この歩く二歩、ないし四歩を太陽礼拝並みに高めていけば、出退勤の徒歩で何回分の太陽礼拝になることか。

駅のホームの点字ブロックを歩く。ボコボコが痛い。足先が力んでいる証拠だ。緩めて歩くと速度はガクンと落ちた。

足先の柔らかさと歩く速さとを兼ね備えた歩行はできるだろうか?

電車の中で立つ。

昨日と一昨日は立っていて大変疲れた。今日は、先ほどの点字ブロックでの柔らかい足先の意識が続いていて、さほど疲れる兆候が無い。

こうして、自分の体を媒介にして世の中の性質を知っていくのがヨガであった。ついぞ忘れていたのだった。